5月、ゴールデンウィークから1ヶ月半(笑)。ついに重い腰の上がった私の久しぶりの探訪記です。と言うのも競馬(GI)の前半戦も宝塚記念、帝王賞などを残すのみとなり、夏競馬が始まろうとしていること。そして毎年『アクティヴな夏』と銘打って出かける季節にもなってきましたので、まあそのリハビリ?そんな感じです!!!
そんな夏前の探訪記、今回もゴールデンウィークと同じく愛知県のお隣、岐阜県へとお邪魔してきました。まあ相変わらず『山』です(笑)。そんな岐阜県、今回は養老町・・・・他府県の方だと一番は名神高速の養老サービスエリア、養老の滝(居酒屋ではありません、本物の滝です)、養老牛などが浮かぶかな?と思います。今回はそんな中から養老の滝近辺の養老公園にありますフィールド ミュージアム『養老天命反転地』なる場所へと出かけてきました。愛知県だとフィールド ミュージアム(テーマパークを含め)的なものとしては博物館と名の付く『明治村』や『リトルワールド』などが有名なんですが、今回はどちらかというと野外美術館的な感じなので、今まで見たことのないものに結構、ワクワクして出かけてきたんです。
名古屋からは車で1時間半ほど。養老の滝を含む養老公園内に、その場所はあります。6月16日(ちなみに父の日)は久しぶりの真夏の陽気で、午前中にはいたんですがかなり汗だくになりました。そんな汗だくで周る(鑑賞する)養老天命反転地とは・・・・
これが頂いたパンフレットによる全景です。さてタイトルの養老『天命反転地』なんですが・・・・
>世界の絶望的な状況を希望ある未来へ転換させる
>『死』を前提にした消極的な生き方を改める=古い常識を覆す意識を持つ
>『死』へ至る『宿命=天命』を反転させることで常識を覆す
>身体変革による意識変革で可能とする
>水平垂直を極力排除し、人工的な地平線を構築することにより、人が生まれ持つ平衡感覚、遠近感を覆し知覚を再構築する(常識を覆す)
こんなコンセプトに貫かれて制作されたとのことでした。少々、観念的で難しい?と思われた方もいると思います(私もその一人です・・・・笑)。しかし芸術に慣れていない人にはそんなものです。ま、このようなコンセプトに貫かれて制作されたということだけご理解頂き、早速なかへ入っていきましょう!!!
先ずはチケット購入(おとな710円)して最初に出てくるのは左側『養老天命反転地記念館(養老天命反転地オフィス)』と右側『極限で似るものの家(メインパビリオン)』です。オフィスは製作者の紹介番組なども放映されていますが中はこんな感じでした。
既に床は平衡感覚を失わせ(斜め)、迷路のような壁がそびえ立っています。日常(常識)からの離脱、常識に迷いを与える、そんなコンセプトをいきなり感じさせてくれるものでした。
床、天井が同じように作られており、ここでもその感覚を惑わすような作りになっています。そして次はお隣の『極限で似るものの家(メインパビリオン)』へ行きましょうか。
建物の間には『昆虫山脈』という瓦礫の山に井戸があるオブジェも存在します。
これがそのパビリオンです。基本は感覚を超越させる斜めというコンセプト。そして地面にも建物にも地名や境などが描かれています。
中はこんな感じです。狭い迷路のような通路と斜めの壁、地面。迷い込んだら自分の立ち位置、平衡感覚さえ失われてしまう・・・・そんなラビリンスが続きます。
これ分かりますか?ソファーなんです(笑)。このようにソファーや浴室、洗面所、テーブルなどがこのような感じで配置されています。頂いたパンフレットによるとこのパビリオンのコンセプトは
>天井と床に配置された家具が壁で分断された迷路のような建物です。
>上下左右に同じ構造が繰り返し現れます。
>ここは『楕円形フィールド』のパビリオンを体験するためのヒントが隠されています。
こうあるんです。このパビリオンを通じて何を感じるか?そこに最後に現れる楕円形フィールドの存在のヒントがあるようなんですが、さてさて・・・・
すっかり平衡感覚を失ったというよりは、斜めの地面を歩いて(暑さもあって)足がガクガクしてきた感じで(日頃の運動不足が露呈?)いよいよメインの場所へと向かいました。
先ほどのパビリオンを出るとこの風景に変わります。正面が『楕円形のフィールド』なんですが、ここではまだその全容をうかがい知ることはできません。
これが正面に見えた『精緻の棟』です。この向こう側にフィールドが存在するんですが、チョットだけ遠回りして道沿いにグルッと迂回して山頂?まで歩いてみました。
ここがこのフィールドの頂上です。青空と景色、いいでしょう~(笑)。非常識的なミュージアムから一気に日常の青空と景色に呼び戻された感じでした(コンセプトとは違いますが)。地面は様々な言語や斜め感がお分かり頂けると思います。ここからいよいよ『楕円形のフィールド』へと下っていきます。
左のアスファルトが登ってきた道、右側は楕円形のフィールド、真ん中が堤防のような小道。ここを下っていくと
徐々に姿を現してきました。それにしてもいい天気でしょ?青空、白い雲、山々の緑!!! ホント、コンセプトとは別の方へ(日常へ、常識へ)帰還してしまいます、私は(笑)!!!
これが先ほど紹介したオフィスの全景です。そして・・・・いきなり視界が開けるとそこには!!!
これが楕円形のフィールドです!!! iPhoneのワイド撮影もしましたので次がその写真です。
すり鉢状のフィールドに向こう正面は万里の長城というか回廊(ダムにも似た?)見えると思います。写真でもお分かりのようにかなり急なスロープ状になっており、運動靴(スニーカー)が必須です。入場口でも用意されています。そしてこのすり鉢状のフィールド内には先ほどのパビリオンがヒントとなっていると言われるオブジェも点在していました。
生い茂る木々の間をまるで探検、宝探しするような、そんな気分で見つけた(これもコンセプトからは逸脱していますが・・・・笑)オブジェの数々をここで紹介していきます。
先ずはソファーやテーブルなどが埋め込まれた流れを汲んだ『白昼の混乱地帯』。斜めの壁が印象的です。
『地霊』なる入口です。ここら辺でなぜか空はどんよりと(笑)。人影もなく、度胸のない私はここに入っていくことはできませんでした(気が小さいんです、ホントは)。
『宿命の家』というタイトル。迷路のようになっているのは最初から貫かれているコンセプト。そして真ん中あたりのガラス張りの下には
『もののあわれ変容器』。もちろん、同じコンセプトで建てられています。
そんなフィールド内廻りを終え、今度は遠く見えた回廊をご案内しましょう。この回廊、万里の長城のように周回することができます。
このようになっています。人はひとりしか通ることはできません。特にトンネルのような箇所を通る時は
狭所恐怖症の方は耐えられないような通路になっています。私も当日が晴れだったから良かったものの、曇や雨の日に前から、後ろから人が来たら・・・・そう思うとドキドキしながら通っていました。
そしてこれが回廊から見た景色。下が先ほどのフィールドです。やっぱり非日常より日常の景色の方が・・・・(笑)。
こんな感じで養老天命反転地の探訪は終了しました。最後にこの養老天命反転地のコンセプトを元に、私なりに何を感じたのか?という芸術論、哲学論で締めくくる・・・・と最初は(書き始めた頃は)思っていたんですが、単純に先ほどの探検、宝探し(笑)だけでも日常から非日常へと意識を転換(日常を忘れてしまう)することもできますし、日常的な立ち位置を忘れて『斜めの世界』を楽しむこともできます。また、日常的とも思える風景(遠景)もやはり視点が変わったことによって別の風景に見えることも確かです。
何が言いたかったかといえば、ミュージアム(芸術)をすぐに難しく論じる方に価値があると思いがちな日常を、逆転して単純に論じることもまた非日常(非常識)なのでは?そう思い始めたんです。難しいことを難しく語るのは簡単で、難しいことを単純化する方がよほど難しいって言うじゃないですか?そんなことを思い始めたら書くのを放棄してしまいました(笑)!!! えっ?実は小難しく書けないんでしょって?お分かりの方には分かりますね。
今回の探訪記、難しく考えるより写真を楽しんで下さい。そして興味がありましたら足も運んでみてください。もちろん、ここを読んでくれている受け手の方は、私よりずっとずっとずっと(笑)優秀と思っていますので、芸術論、哲学論も書けるだろうと思っておりますので!!! 私はコンセプトの中の『日常の中の非日常』という私がいつも使うこの言葉だけを切り取って、ご紹介いたしました。
最後は日常の中の非日常というよりも、非日常の中の日常とも言うべき回廊から見えた名古屋都心の風景で終わります。また非日常から日常へと戻ります(笑)。
※なお原文のタイムラインがおかしいのでは?と思われますよね。実はこの記事、宝塚記念前から少しずつ書いており宝塚記念の日に完成させる予定でしたが、今日になってしまいました。まあ、あえてそのままの記載で残しておこうと思った次第です。
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